数年にわたる開発期間を経てショーン・デザイン初となる自社開発のソリッドチタン製ペン先「ショーン・デザイン モノックニブ」が完成しました。「モノック」はフランス語モノコックを略した造語で、「モノックニブ」が航空分野やレース分野で用いられるモノコック構造(構造と外装を単一素材で作る構造)に着想を得ている事に由来します。
ショーン・デザインは、フィラデルフィアの自社工房でデザインから製造にいたるモノックニブの全製造過程を行い、世界でも数少ないペン先を自社製造するマニュファクチャーの一つとなりました。
モノックニブはJOWO製ペン先に対応したショーン・デザインの既存製品に取り付け可能で、字幅はFINEとMEDIUMの2種類を用意しています。
モノックニブ最大の特徴は、その名前がモノコック構造に由来するとおり、ペン先とペンポイントが一つの金属無垢材から切削により作られている点です。従来の万年筆の薄い板状のペン先にペンポイントを溶接する製法とは大きく異っています。最新のCNCにより精密に作られたモノックニブとウルテム製フィーダーは、良好なインクフローを実現しています。またCNCによる単一構造のペン先製造というアプローチは、伝統的な3ピース構造のペン先よりも製造時の誤差や品質のばらつきを防ぐことができます。
ペン先とペンポイントを切削による単一構造にすることの利点は、素材のグレードファイブ チタンの特性である柔らかさを活かしたソフトな書き味のペン先を作ることができる点です。その際に重要となるのがペン先の厚みです。ニブとペンポイントに厚みがあることで、字幅のバリエーションが増やすことができ、丈夫さと性能面でも優れたペン先を作ることが可能になりました。初期の試作品や既存のチタン製ニブを通じて、チタンを丈夫なニブ素材として効果的に用いるためには、既に市場にあるフレキシブルなチタン製ニブよりも厚く硬く作る必要があることが分かりました。追加の厚みにより、より正確に筆記時のペン先の“しなり”をコントロールでき、結果的によりスムースで、より安定した書き心地を実現しています。
このペン先の書き味は、市場にあるどのペン先と比較してもユニークで、他のチタン製ペン先と比較してとても丈夫です。
モノックニブは、その特別な書き心地を確実にするため、手作業で組立・最終研磨・品質検査が行われます。
ペン先には、首軸にねじ込んだ際に首軸内部に密着する、赤いOリングがセットされています。インク方式は、ヨーロッパタイプのコンバーターやカートリッジに対応するほか、よりインクフローの多い筆記を楽しみたい場合はペン本体に直接インクを充填するアイドロッパーとしても使用可能です。またOリングによりキャップ内部の気密性が保たれるため、気圧差によるインク漏れやペン先の乾燥を防ぐことができます。
モノックニブのデザインと開発の目的は、これまでにない筆記体験、ペン先素材としてのチタンへの新しいアプローチ、ペン先の新しい製法のパイオニアとなることです。
従来品とは違う新しいものであること、エキサイティングでることを意図して作られたため、「モノックニブ」が全ての万年筆ファンの期待に合うことはありません。しかしながら、全ての万年筆ファンが「モノックニブ」を万年筆業界の一風としてお楽しみいただける事を願っております。
イアン・ショーンは全米のペンコミニティに参加する中で、ペンの形状・大きさ・素材・ペン先などの好みは千差万別で、全ての人の要望を満たす最適解は無いという事を学びました。それは万年筆の楽しみ方が無限大であることと同じです。